迷惑メールと判定されないために行った対策

Greenlap合同会社 代表

楠本 輝也

先日、とあるお客様から「送ったメールが迷惑メールと判定されてしまう」とのご相談を受けました。

そのお客様はスポーツジムを経営されているのですが、会員の方に送ったメールが、どうやら迷惑メールフォルダに入ってしまっているようでした。

そこで今回は、迷惑メールと判定されないために行った対策を共有します。

DNSレコードを設定する

まずは技術的な対策として、メールの送信元のドメインのDNSレコードを設定します。

具体的には、SPF、DKIM、DMARCという3つの設定を行います。これらは、なりすましや改ざんを防ぐための技術です。

多くのメールプロバイダ(GmailやYahoo!メール、iCloudなど)は、この3つの設定を送信者に要求しています。

SPF:メールの送信を許可されているメールサーバーを指定

SPFの設定方法は、TXTレコードで、指定の書式でメールサーバーのドメイン(もしくはIPアドレス)を記述します。

このようにDNSレコードで公開することで、受信側のメールソフトは、ドメイン所有者が意図した送信元であると判断できます。

今回のケースでは、Google Workspaceに自社ドメインを関連付けていたため、下記のレコードを追加しました。

名前

タイプ

@

TXT

v=spf1 include:_spf.google.com ~all

DKIM:改ざんされていないことの検証

DKIMは、メールに付与されたデジタル署名を元に、受信側のメールソフトが改ざんを検知できるようにする仕組みです。

こちらもDNSレコードに、デジタル署名の検証に必要な公開鍵と呼ばれる文字列を登録します。

登録する文字列は、メールプロバイダーが発行します。

今回のメールプロバイダーはGoogle Workspaceなので、管理コンソールで取得した上で、DNSに下記のレコードを追加しました。

名前

タイプ

google._domainkey

TXT

v=DKIM1; k=rsa; p=ABCDE...

DMARC:SPFとDKIMの検証結果を元に取るべきアクションを指示

DMARKは、SPFとDKIMの検証が失敗した時に、そのまま受け取るのか、あるいは拒否するのか等を指示するものです。

一旦、下記で設定しておけば良いでしょう。

名前

タイプ

_dmark

TXT

v=DMARC1; p=none;

最初は none から始めて、段階的に設定を厳しくすることが推奨されています。

受信者側で、メールを迷惑メールフォルダから受信トレイに移動してもらう

上記の対応を行っても、迷惑メールと判定されてしまうケースがあります。

例えば、一度迷惑メールに振り分けられたメールの送信元は、その後も迷惑メールと見なされやすくなります。

その場合、受信者側の操作で、迷惑メールでないことをメールシステム(GmailやiCloudなど)に明示する必要があります。

具体的な操作はメールソフトごとに異なりますが、下記に例を示します。

メールソフト

操作手順

Gmail

  1. 「迷惑メール」フォルダを開いて、該当のメールの左側をクリックして、チェックボックスをオン
  2. 画面上部の「迷惑メールではない」をクリック

iCloud

「迷惑メール」フォルダを開いて、該当のメールを受信トレイに移動

一度に大量のメールを送信しない

一度に大量のメールを送信すると、スパムと判断される可能性があります。

特に新しいドメインやIPアドレスからの大量メールは疑われやすいです。可能ならば、送信量を段階的に増やすなどして、信頼性を構築することが効果的です。

また、SendGridMailchimpのようなメール配信サービスを使う際は、自社のドメインが迷惑メール判定されないよう注意しましょう。

スパム的な文言や、過度な宣伝文句を避ける

迷惑メールフィルタは、特定のキーワードや文体、フォーマットを持つメールをスパムとして分類することがあります。

そのため、過度の広告言語や疑わしいリンク、大量の画像や不自然なフォーマットを避けることが望ましいです。

まとめ

ここまで対策をご説明しましたが、実際に迷惑メールと判定されないかどうかは受信側のメールシステム(iCloudやGmail)の内部実装に依存するため、送信側での完全な対策は難しいです。

全ての受信側メールシステムで完全に迷惑メール判定を避けることはできませんが、リスクを最小限に抑えることはできます。

もしも、メールを送信したにも関わらず、数日お客様からの返信がない場合は、迷惑メールと判定されていないかをお客様にご確認いただくことをお勧めします。

併せて、上記の対策に漏れがないかを確認してみてください。